電気代の値上げは今後どうなる?企業が知るべき見通しとコスト削減策

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補助金の終了、再エネ賦課金の上昇、中東情勢による燃料高騰——2026年、企業の電気コストは静かに、しかし確実に上昇しています。「このまま値上げが続くのか」「何から手を打てばいいのか」と不安を抱える施設担当者の方へ、現場を知るプロの視点で見通しと具体策をお伝えします。

この記事では、電気代の値上げが今後どう推移するかを整理し、企業が取るべきコスト削減策を実践的に解説します。

目次

電気代の値上げは今後もしばらく続く可能性が高い

まず押さえておきたいのは、今の電気代の水準が「一時的な高止まり」ではないという現実です。制度と国際情勢の両面から、構造的に上がりやすい環境が続いています。ここでは足元で何が起きているのかを確認していきましょう。

電気代の値上げ状況を見ると今後も変動が続きやすい

2026年に入り、企業が支払う電気料金は明確に上昇しました。大きな引き金となったのが、政府による「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の補助金終了です。低圧電力向けの補助単価は、2026年2月検針分(1月使用分)で4.5円/kWhあったものが、3〜4月検針分(2〜3月使用分)で1.5円/kWhへ縮小し、5月検針分(4月使用分)でゼロとなりました。なお、2026年7月使用分以降は低圧3.5円/kWh程度の支援が期間限定で再開されています(資源エネルギー庁2026年5月26日発表)。

この補助金は電気料金そのものを直接値引きするものだったため、料金メニューの改定がなくても、企業が実際に支払う金額は上がります。使用量の多い施設ほど補助終了の影響は大きくなります。高圧受電の施設には低圧とは別に2.3円/kWh(2026年1月使用分)の補助があり、たとえば月間10万kWhを使用する工場であれば、単純計算で月額23万円もの負担増につながる計算です。

さらに、こうした支援策は年度予算に左右されるため、今後も継続されるとは限りません。制度に依存した前提でコスト計画を立てると、支援終了時に一気に採算が崩れます。だからこそ、外部要因に左右されにくい自社の電力構造そのものを見直す視点が重要になります。

今後の電気代は補助金や燃料価格で上下しやすい

電気代は「基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金」という構成で決まります。このうち月ごとに変動するのが燃料費調整額で、LNG(液化天然ガス)や石炭、原油の輸入価格と為替に連動します。つまり、電力会社の料金メニュー自体が変わらなくても、燃料市況次第で毎月の請求額は上下するのです。

加えて、政府は脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの比率を高める方針を掲げており、その原資となる再エネ賦課金は長期的に上昇傾向にあります。補助金という「下げ要因」が消え、賦課金という「上げ要因」が残る——この非対称な構図が、電気代の値上げが今後も続きやすい根本的な理由です。

電力会社や料金プランによって値上げ幅に差が出る

同じ「値上げ」でも、契約する電力会社やプランによって影響の大きさは変わります。特に、自社で発電所を持たず日本卸電力取引所(JEPX:電力を売買する卸市場)から調達する新電力の場合、市場価格の高騰がそのまま料金に反映されやすい傾向があります。

一方で、大手電力会社の規制料金は改定に国の認可が必要なため、値上げには事前通知があり、突然数倍になることはありません。ただし「通知があるから安心」ではなく、通知を受けてから対策を打っても間に合わないのが実情です。料金メニューの安定性と、市況変動への耐性は別問題であり、契約形態のリスク特性を正しく理解しておくことが値上げ時代の第一歩です。

電気代の値上げが今後も起こる主な理由

値上げに備えるには、その正体を分解して理解することが欠かせません。電気代を押し上げる要因は一つではなく、複数の制度・市況が層のように積み重なっています。それぞれの仕組みを知ることで、どこに手を打てば効果が出るかが見えてきます。

燃料費調整額の上昇が電気代の値上げにつながる

燃料費調整額は、火力発電の主原料であるLNG・石炭・原油の価格と為替の変動を、3カ月の平均をもとに、その2カ月後の料金に反映する仕組みです。日本の発電は依然として火力への依存度が高いため、この調整額の動きが電気代全体を大きく左右します。

問題は、このコストが企業側でコントロールできない点にあります。国際的な燃料市況に翻弄され続ける限り、電気代の予測は難しくなります。対策としては、購入する電力量そのものを減らすアプローチが最も確実です。使用電力を自家発電でまかなえば、燃料費調整額の影響を受ける「買う電気」の総量を圧縮できます。

再エネ賦課金の増加が今後の電気代を押し上げる

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、再エネの買取費用を電気使用量に応じて全需要家が負担する制度です。単価は年々上昇しており、2024年度の3.49円/kWhから、2025年度は3.98円/kWh、2026年度は4.18円/kWhへと引き上げられました。

この賦課金は使用量に比例するため、電力を多く使う施設ほど負担が増えます。今後も政府の再エネ拡大方針が続く以上、上昇基調が反転する可能性は低いと見ておくべきでしょう。ここでも有効なのは自家消費の拡大です。自社の屋根で発電した電気を使う分には賦課金がかからないため、購入電力量を減らすことが直接的な負担軽減につながります。

託送料金や容量拠出金の負担増が値上げ要因になる

電気を届ける送配電網の利用料である託送料金も、値上げの一因です。2023年4月に導入された「レベニューキャップ制度」により多くのエリアで引き上げられ、5年ごとに見直されるため次回改定時のコスト増リスクがあります。

さらに、将来の供給力確保を目的とした「容量市場」に基づき、小売電気事業者が負担する容量拠出金も2024年から電気料金に転嫁されるようになりました。これらは制度に組み込まれた固定的なコストであり、個々の企業の努力では削減が困難です。だからこそ、削減できる部分、すなわち購入電力量に集中して対策を打つのが合理的です。

円安や国際情勢の悪化で今後の電気代は高くなりやすい

2026年に顕在化したのが、中東情勢の緊迫化による燃料供給リスクです。日本のLNG輸入ルートの要所であるホルムズ海峡が通航制限を受けた場合、燃料供給が逼迫し、燃料費調整額を通じて電気代が急騰する恐れがあります。過去にも2022年のロシア・ウクライナ情勢では、天然ガス・石炭価格の高騰と円安が重なり、翌2023年6月には大手電力7社が規制料金を14〜42%値上げしました。

こうした地政学リスクは予測が難しく、企業側で防ぐことはできません。しかし、影響を受ける「買う電気」の割合を下げておけば、有事の際の打撃を和らげられます。有事に強い電力構造をあらかじめ築いておくことが、リスク管理の観点でも重要です。

電力需給のひっ迫が電気代の上振れ要因になる

経年化した火力発電所の休廃止が進むなか、真夏や真冬に冷暖房需要が急増すると、JEPXの市場価格が高騰します。これは自社発電所を持たない新電力の料金に直結しやすく、需給ひっ迫時には想定外の請求額に驚くケースもあります。

この上振れリスクへの備えとしては、需要のピークをずらす、あるいは需要そのものを自家発電で吸収するといった対策が有効です。特に、太陽光発電の発電ピークは夏場の日中と重なるため、需給ひっ迫が起きやすい時間帯の購入電力を効果的に抑えられます。

電気代の値上げに備えて今後やるべき対策

値上げの構造がわかれば、次は行動です。対策には「すぐできる見直し」から「中長期の設備投資」まで幅があり、自社の状況に応じて組み合わせることが成果につながります。ここでは実践的な打ち手を、効果の大きさとともに整理します。

電力会社と料金プランを見直すと電気代を抑えやすい

最も手軽な対策が、契約プランの見直しです。施設の稼働パターンに合ったプランを選ぶことで、設備投資なしに固定費を削減できます。夜間稼働が多い施設なら夜間割引のあるプラン、日中集中型なら別のメニューが適するなど、稼働実態との適合が鍵になります。

ただし、新電力への切り替えを検討する際は、料金単価の安さだけで判断しないことが大切です。市場連動型プランは平常時は割安でも、需給ひっ迫時に単価が跳ね上がるリスクを内包しています。契約前に、価格決定の仕組み(固定単価か市場連動か)と、需給ひっ迫時の料金上限の有無を確認してください。

契約アンペアや使い方を見直すと値上げ対策になる

基本料金は、一度に使う最大の電力に応じて決まります。高圧受電の施設では、最大需要電力(デマンド値:30分ごとに計測される使用電力の最大値)が基本料金を左右するため、このピークを抑えることが固定費削減に直結します。

具体的には、大型設備の稼働時間をずらして同時稼働を避ける、空調と生産設備のピークが重ならないよう運用を調整するといった工夫が効きます。運用改善だけで下げきれない場合は、後述する蓄電池によるデマンドカット(ピーク時に蓄電池から放電して買電量を抑える手法)が有効な選択肢となります。まずは検針票やマイページで自社のデマンド値の推移を把握することから始めましょう。

省エネ家電への買い替えは今後の電気代対策に有効

設備の経年劣化は、気づきにくい電気代上昇の要因です。10年前のモデルと比較すると、最新の省エネエアコンは約13%、冷蔵庫は約15〜24%の省エネ効果があるとされています(資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」)。オフィスや店舗の空調、業務用冷蔵設備などは、更新するだけで消費電力を確実に減らせます。

とはいえ、まだ使える設備をすべて入れ替えるのは投資効率が悪くなります。現実的には、故障や性能低下のタイミングで省エネ機種へ切り替えるのが賢明です。日々の運用面でも、空調フィルターの定期清掃や設定温度の最適化といった基本動作を徹底するだけで、無駄な消費を抑えられます。

太陽光発電や蓄電池の導入は長期の値上げ対策になる

最も根本的な値上げ対策が、太陽光発電による自家消費です。自社の屋根や遊休地で発電した電気を使えば、購入電力量そのものを減らせるため、燃料費調整額・再エネ賦課金・託送料金といった値上げ要因の影響を一括して回避できます。プランの見直しが「支払い方の最適化」だとすれば、自家消費は「支払う量そのものの削減」であり、効果の持続性が段違いです。

導入方法には、初期費用を自社で負担する「購入モデル」と、初期費用0円で始められる「PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約。事業者が施設の屋根に発電設備を無償設置し、発電した電気を従量課金で使う仕組み)」があります。どちらが適するかは施設規模や財務戦略によって変わるため、両者の特性を理解して選ぶことが重要です。

購入モデルとPPAモデルの比較(産業用)

比較項目購入モデルPPAモデル
初期費用必要(設備費・工事費)0円(事業者が設置)
メンテナンス自社負担事業者側で実施
投資回収効率良い(発電分がそのまま削減)従量課金で継続支払い
会計上の扱い資産計上条件によりオフバランス
向いている施設中小規模施設大規模施設

設備を自社資産として持たずに済むPPAは、契約内容や会計基準によっては、設備を資産計上せず利用できる場合があり、大企業や大規模施設で選ばれる傾向があります。ただし2027年4月以降に開始する事業年度からは新しいリース会計基準が適用され、契約内容によってはオンバランス(資産計上)となるケースもあるため、契約前に自社の会計処理への影響を確認することが重要です。一方、購入モデルは発電して自家消費した分がそのまま削減効果になるため投資回収効率が良く、設備の更新や処分を自社でコントロールできる利点があります。PPA事業とEPC(設計・調達・建設)事業の両面を持つ企業であれば、両モデルを同じ土俵で比較提案してもらえます。

オール電化や時間帯別プランは施設によって向き不向きがある

時間帯別プランや電化設備への切り替えは、施設の稼働特性次第で効果が大きく変わります。休日も含めて年中稼働する工場と、平日日中のみ稼働するオフィスとでは、最適な組み合わせがまったく異なります。

特に太陽光発電を導入する場合、休日の消費電力が少ない施設では発電した電気が余りやすく、自家消費のメリットが出にくくなります。導入前には、平日・休日・時間帯ごとの使用電力を分析し、どのプランや設備が自社の稼働パターンに合うかを見極めることが欠かせません。安易に「電化すればお得」と考えるのではなく、実測データに基づいた個別シミュレーションで判断してください。

電気代の値上げと今後に関するよくある疑問

ここまで対策を見てきましたが、実務では「なぜ高くなったのか」の判断に迷う場面が多いものです。最後に、現場でよく寄せられる疑問に答えながら、日々のコスト管理に役立つ視点を整理します。

電気代の仕組みを知ると値上げの理由がわかりやすい

電気代は「基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金」で構成されます。この構造を理解しておくと、請求額が上がったときにどの要素が原因かを切り分けられます。基本料金はデマンド値、電力量料金は使用量、燃料費調整額は市況、再エネ賦課金は国が定める単価——それぞれ動く理由が違うのです。

ちなみに、電気を購入し続ける限り、これらの項目からは逃れられません。自家消費型の太陽光であれば、発電して使った分には電力量料金も再エネ賦課金もかからないため、料金構成そのものをシンプルにできます。仕組みを知ることは、どこにメスを入れれば効果が出るかを見極める土台になります。

値上げされていなくても電気代が高くなることはある

「料金改定の通知は来ていないのに請求額が上がった」というケースは珍しくありません。原因の多くは、燃料費調整額の毎月の変動か、使用量自体の増加です。猛暑・厳冬による空調負荷の増大、設備の経年劣化による効率低下などが、知らないうちに使用量を押し上げます。

電気代が高くなったと感じたら、まず検針票やマイページで「単価」と「使用量」のどちらが変動したかを確認してください。単価変動なら燃料市況や賦課金、使用量変動なら運用や設備の問題と、原因によって打つべき手が変わります。この切り分けを習慣にするだけで、無駄なコストの早期発見につながります。

今後の電気代は施設の稼働状況で負担感が変わる

同じ値上げでも、施設の稼働状況によって受ける影響は大きく異なります。24時間稼働の物流倉庫や年中稼働の食品工場は使用量が多いぶん値上げの打撃も大きく、逆に平日日中中心のオフィスとは対策の優先順位が変わってきます。

太陽光発電の経済効果を左右するのも、この稼働状況です。設置可能面積の広さ、契約電力の大きさ、休日も含めた電力使用の多さ、そして工事の難易度——これら4つの要素が揃うほど自家消費のメリットが大きくなります。自社がどの条件に当てはまるかを整理すると、対策の効果を事前に見通しやすくなります。

新電力への切り替えは料金だけでなく条件確認が大切

新電力への切り替えは有効な手段ですが、料金単価の低さだけで飛びつくのは危険です。市場連動型のプランは需給ひっ迫時に単価が急騰するリスクがあり、平常時の安さが有事の高騰で相殺されることもあります。

切り替えを検討する際は、料金体系が固定単価か市場連動か、契約期間や中途解約の条件、需給ひっ迫時の料金上限があるかを必ず確認してください。安い提案ほど「何が含まれていないか」「どんな条件で高くなるか」を見極めることが、後悔しない選択につながります。目先の単価に一喜一憂せず、長期的なトータルコストで判断する姿勢が求められます。

値上げに強い電力構造づくりを実績あるパートナーと

電気代の値上げ対策は、プラン見直しのような短期策と、自家消費導入のような中長期策を組み合わせることで効果を最大化できます。特に太陽光発電は、発電シミュレーションの精度が投資判断を左右する要です。売るために発電量を過大に見積もる提案には注意が必要で、設備規模が同じなのに他社より極端に発電量が多い見積もりは、数値を盛っている可能性があります。

株式会社オルテナジーは、PPA事業者とEPC事業者の二面性を活かし、購入とPPAの両モデルを比較提案できます。自社の施工管理者が協力会社を直接統率する施工体制(下請けへの丸投げをしない)による工期短縮とコスト競争力を強みとし、想定発電量に対する実績達成率は当社施工実績ベースで97.4%を達成しています。導入後もO&M(運用・保守)管理5,000件以上のノウハウで、遠隔監視による予兆検知と迅速な駆けつけ対応を行い、発電ロスを最小化します。だからこそ、シミュレーションの正確さと完工後の安心を両立できるのです。

まとめ

この記事では、電気代の値上げが今後も続きやすい構造的な理由と、企業が取るべき具体的なコスト削減策を解説しました。補助金の終了、再エネ賦課金の上昇、燃料市況や地政学リスク——これらの多くは企業側でコントロールできませんが、「購入する電力量そのものを減らす」という一点に集中すれば、値上げの影響を根本から和らげることができます。

プランの見直しや省エネといった短期策と、太陽光発電・蓄電池による自家消費という中長期策を、自社の稼働状況に合わせて組み合わせることが成功のカギです。目先の安さに惑わされず、長期的なトータルコストと完工後の安心を軸に判断すれば、値上げ時代でも揺るがない電力コスト構造を築けます。まずは自社の使用実態を把握することから、第一歩を踏み出してみてください。

オルテナジーでは、太陽光発電設備の保守・運用から新規導入まで、お客様の課題に合わせたソリューションを提供しています。電気コスト削減や再エネ導入などのお悩みは専任スタッフにお気軽にご相談(無料見積もり)ください。

参考文献:
https://www.meti.go.jp/press/2025/12/20251216005/20251216005.html(経済産業省 電気・ガス料金負担軽減支援 2026年1〜3月使用分)
https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612003/20260612003.html(同 7〜9月使用分)
https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260319004/20260319004.html(経済産業省 2026年度の賦課金単価)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/(資源エネルギー庁 燃料費調整制度について)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/(資源エネルギー庁 電気料金の改定について 2023年6月実施)
https://www.egc.meti.go.jp/info/revenue_cap/(電力・ガス取引監視等委員会 レベニューキャップ制度)
https://www.occto.or.jp/news/market-board_market_oshirase_2024_240620_youryoukyosyutukin_kouhyou.html(電力広域的運営推進機関 容量拠出金)
https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0913.html(企業会計基準委員会 リースに関する会計基準)

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